カナダの石油・天然ガス企業の設備投資額がピーク時の約5割減となったものの、原油生産量は引き続き増加するとの見通しが出ている。(写真は3月初旬に開催されたカナダ・セミナーの様子)
カナダ連邦政府は3月2日、同国の石油・天然ガス関連企業における2015年第4四半期(10~12月)の設備投資額が前年同期比46%減の119億カナダドルになったと発表した。14年第4四半期がこれまでのピークだったため、わずか1年ほどで半減したことになり、原油安の影響が数字上からも明らかとなった。
一方、米エネルギー情報局(EIA)は2月末、原油価格の低迷が続く状況にもかかわらず、カナダの原油生産量は2017年も増加する見通しであると発表した。原油価格の下落傾向が顕著となった2014年半ば以前に、オイルサンド(油砂)開発プロジェクトが着工していたため、計画を中断するわけにいかなかったことが影響したと分析。EIAはエネルギー短観(STEO)で、カナダの原油生産量が2015年に日量450万バレル、16年に同460万バレル、17年に同480万バレルになると予測している。
ところで、カナダの指標原油であるウェスタン・カナディアン・セレクト(WCS)は、米国指標のウエスト・テキサス・インターメディエート(WTI)に比べ、1バレル当たり15ドル程度、割安な水準にある。今年1月時点でみると、WCSは1バレル18.42ドルで、この価格水準で採算ベースに乗らないが、EIAはオイルサンド開発計画が30~40年間にわたる生産活動を見込んでいるため、開発が可能との判断を示した。
ちなみに、2015年の世界における原油の増産量で、カナダは米国、イラク、サウジアラビア、ブラジルに次いで第5位だった。