原油安が続くなか、産油国カナダでは、再生エネルギーに重点を置く企業が増えてきた。加パイプライン大手のエンブリッジが、再生可能エネルギー計画に投資することが判明したほか、多くの中小企業によるこの分野への進出が目立つ。(写真はパイロジェネシスのロバート氏)

2月28日付のサイト『グローブ・アンド・メール』などによると、エンブリッジは今後、再生可能エネルギー計画に10億ドルを投資する。天然ガスに加え、再生エネとして風力発電、省エネルギー事業などに投資するという。原油価格の低迷を受けて、事業再編に取り組むエンブリッジは、中核のパイプライン輸送事業の収益比率を現行の70%から50%に引き下げ、再生エネルギー分野へのシフトを加速するもようだ。

一方、駐日カナダ大使館が3月初旬、東京都内で主催したセミナーで、同国の再生可能エネルギー企業約20社が、自社製品などのピーアールを行い、日本からの投資を呼びかけた。

 太陽光発電を手がけるアンプ・ソーラー・グループ(AMP)は、エンジニアリングのオペレーションに加え、投資家中心型のアプローチをとる方針だ。カナダ投資公社から資金調達し「発電事業の電力供給を担保できる」(アジア地域代表のディーン・クーパー氏)という。今後、インド、米国、日本市場に進出を図る計画で「日本では今後3年間で750メガワット(MW)の稼働を目指す」(同氏)としている。

また、プラズマ処理技術と関連製品の設計、開発、製造、商品化で、温室効果ガスの削減に取り組むパイロジェネシス・カナダは、日本市場参入について、都市から出るゴミからバイオメディカルに至るプロセスで、発電エネルギーに転換するビジネスを模索する。同社セールス・マネージャーのフレデリック・ロバート氏は「この3年間で福島県を3回ほど訪問した。放射性廃棄物の除染で、弊社は土壌処理のソリューション提供できる」と強調した。

ところで、日本では今年4月、電力小売りの全面自由化が始まる。これをビジネス・チャンスと捉えるのが、トロントに本拠を構えるレッドニーだ。2013年に日本法人を東京・渋谷に設立。以来、通信の課金システムの提供で業容を拡大してきたが、今後は「電力の世界でソリューションを提供する」(島田信治マネージャー)としている。具体的には、電力料金の課金請求に関する仕組みを考案したうえで「これをポイント化する計算システムを構築する」(同氏)という。