バイオ燃料に関する研究開発で、米国では研究機関や大学、企業を中心とした取り組みが活発なようだ。今回は、大学などで繰り広げられる研究の成果の一部を紹介する。
6月16日付のサイト『エンジェルウッド・ニュース』などによると、ゲーボ(米コロラド州)がマスケット・コーポレーション(米ヒューストン)向けにガソリン配合用バイオイソブタノールを供給することが分かった。供給する量は2万8,000~2万9,000ガロンで、タンク車1両分に相当するという。ゲーボは今後、米アリゾナ・ネバダ・ユタ各州の船舶市場などに向けて出荷する。マスケットは、ゲーボがミネソタ州ルバーン施設で増産するため、購入量を増やした。
農業研究機関で知られる国際食糧政策研究所(IFPRI、米ワシントンDC)やオークリッジ国立研究所(ORNL、米テネシー州)、自然科学や医学分野で世界をリードする英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)など欧米やアフリカを中心とした10機関がこのほど、エネルギー作物に関する評価レポートを公表した。ICLによると、このレポートでは、食糧保障やバイオ燃料などの相互関係、それに付随するシナジー(相乗)効果の関連性などを報告した。バイオ燃料生産活動による市場や環境への影響を最小限に食い止めることを目指すという。
他方、米スクリプス海洋研究所(加州サンディエゴ)は6月13日、フィンランドのネステ・オイルから購入した「NEXBTL」と呼ばれる水素化処理再生可能ディーゼル(HDRD)を使用し、試験船「ロバート・ゴードン・スプロール号」で約1年間にわたり、1万4,400カイリを航行した。その結果、窒素酸化物(NOx)排出量がバイオ燃料と比較して13%少なかったものの、粒子状物質(PM)排出量が35%多いといったデータを得られたとしている。
このほか、米ロチェスター工科大学(RIT)が6月3日、米ニューヨーク州で再生可能エネルギー施設を運営するシナジー・バイオガスと、植物性プランクトン(マイクロアルジェ)を利用して農業排水を浄化し、バイオ燃料を製造する研究をしていると発表。RITによると、実験レベルで、廃水中のリン塩酸濃度を0.1ppmまで削減することに成功したという。