内戦状態が続いていたアフリカの南スーダンで、反政府勢力も参加する暫定政権が4月29日に発足し、約1カ月が経過した。これまでの内戦によって、主要油田が閉鎖されていたため、原油生産量の減少が顕著となっている。現地からの報道によると、南スーダンの石油相はこのほど、原油増産に向けた対応策を7月までにまとめる方針を示したという。
5月24日付のサイト『エコフィン・エージェンシー』などによると、南スーダンのダク・ドュオ・ビチオク石油相がこのほど、21人の専門家で構成される技術委員会を立ち上げ、石油企業と共同で原油増産に向けた対応策を7月までに検討する方針を示したという。
南スーダンでは、約2年前に始まった内紛によって、ユニティ州と上ナイル州の油田操業が停止状態にあった。『スーダン・トリビューン』の報道によると、南スーダンの原油生産量は2013年の日量30万バレルから14年には同16万5,000バレルにまで減少している。ちなみに、南スーダンは国家歳入の98%を石油に依存している。
南スーダン暫定政権の成立で、戦闘状態は収まっているとされるが、キール大統領派と反政府勢力トップのマシャール派との対立が解消されたわけでなく、政権内に火種が燻っているのも事実のようだ。そこには、石油利権が絡んでいるとされる。
2年半後に総選挙が実施され、そこで選ばれた政権が新しい南スーダンの国政を担うプロセスとなっているが、完全移行に漕ぎ着けられるかは現時点で不透明な部分が多いとの見方が一般的だ。
ところで、日本政府は今年2月、閣議で自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の派遣期間を10月末まで8カ月間延長することを決めた。日本は2011年、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加した。自衛隊の施設部隊が、首都ジュバを中心に道路整備など、再建活動に従事している。(写真は防衛省のHPから引用)