アフリカの小国ルワンダ共和国で、メタンガスを使用する「キブエ火力発電プラント」が本格稼働した。
ルワンダのウエスタン郡カロンギ地区に建設されたキブエ天然ガス火力発電所が5月16日に稼働を開始した。同日付の英字紙『ニュー・タイムズ』によると、当日、ポール・カガメ大統領も落成式に臨席したという。
発電能力は25メガワット(MW)で、キブ湖の沖合13キロメートルに設置された場所で、湖水から汲み上げられたメタンガスを電源に利用するというユニークな発電プラントだ。国内電力網に接続され、ルワンダ各地に送電されるという。ルワンダ政府は、米エネルギー企業のコントゥア・グローバルに25年間にわたる発電プロジェクト(100MW規模)の開発権を付与している。
ちなみに、ルワンダ全体の発電能力は、水力が97.3MW、火力が51.7MW、太陽光が8.5MWという。今回、キブエ火力発電所が稼働したことで、発電能力の拡大につながると期待されている。
ルワンダは1962年に独立した。その後、二大部族のフツ族とツチ族との対立が激化。1973年にはクーデターが発生、フツ族のハビャリバナ氏が第2代大統領に就任すると、反ツチ族政策が強化され、ツチ族は難民として近隣諸国に逃れた。ルワンダは、西にコンゴ民主共和国、北にウガンダ共和国、東にタンザニア連合共和国、南にブルンジ共和国と国境を接している。
1987年、ウガンダに逃れていたツチ系難民が結集し、ルワンダ愛国戦線(RPF)を結成。帰国への機運が高まるなか、1994年4月に世界中を震撼させた大虐殺「ルワンダ・ジェノサイド」が発生。約100日間で国民80~100万人が殺害されたといわれる。当時、ルワンダの人口が約730万人であったことを考えると、いかに大規模な虐殺で、多くの人命が失われたかが分かる。
内戦時代に海外に脱出した約200万人が戦後、ルワンダに帰国し、国の復興に尽力した結果、近代化が加速し「アフリカの軌跡」と呼ばれた。2009年11月29日には、英国連邦の54番目の加盟国となった。