米エクソンモービルは3月29日、2016年第1四半期(1~3月)の決算で、純利益が前年同期比63%減の18億1000万ドルになったと発表した。その3日前、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、エクソンの信用格付けを最上位「AAA」から「AA+」に1段階引き下げた。エクソンが格付けの最上位から転落するのは、1930年以来初めてだ。原油安が続く中、米シェブロンが赤字に転落する一方、エクソンは利益を確保している。最近のエクソンの動きを取り上げた。
エクソンは4月14日、メキシコ湾ジュリア深海油田の原油をオランダ・ロッテルダムにある製油所向けに初出荷したと発表した。輸出量は1万8,000バレル。2015年12月末、米政府が自国産原油の輸出解禁に踏み切ったことを受けて、エクソンはすでに陸上油田で産出された原油を輸出しているが、海洋油田からの原油輸出は今回が初めてという。ただ、今後もジュリア原油の輸出を継続するか否かは不明としている。ジュリア油田の生産量は、2016年第2四半期に日量3万4,000バレルに達する見込みだ。
エクソンはまた、米アラスカ州ボーフォート海に面したノース・スロープのポイント・トムソンで、コンデンセートを日量5,000バレルと、天然ガスを日量1億立方フィートの生産を開始した。4月22日付のサイト『アラスカ・ジャーナル』などが報じた。それによると、2~3カ月後のフル生産時にコンデンセートを日量1万バレル、天然ガスを同2億立方フィートに増強する計画だ。2015年からの投資額は40億ドルで、ポイント・トムソンの天然ガス埋蔵量は8兆立方フィートという。権益比率はエクソンが62%、英BPが32%などとなっている。
このほか、エクソンは、イタリア炭化水素公社(ENI)がアフリカのモザンビーク沖に位置するロブマ海盆のエリア-4と呼ばれる天然ガス鉱区の権益約15%を買収する方針という。3月25日付のサイト『ナスダック』などが報じた。エリア-4の天然ガス埋蔵量は85兆立方フィートで、ENIは現在、50%の権益を保有するが、数年前まで70%を超えていた。20%の権益を中国国営のCNPCに42億ドルで売却済みだ。