外務省は2月5日、岸田文雄外相と来日したイランのアリ・タイエブニア経済財務相が、都内で日イラン投資協定に署名したと発表した。これによって、日本政府は今夏の発効を目指し、国会での承認手続きを急ぐとみられる。ところで、同経財相は来日中に各所で講演し、イランへの日本からの積極的な投資を呼びかけた。(写真は外務省HPより)
2月3日、日本エネルギー経済研究所が主催したセミナーで講演したタイエブニア経財相は、イランの核開発協議に関連し、欧米など6カ国と最終合意に至った点について「対話と協議で解決できることを、一つの模範となる方程式を示すことができた」と評価した。そのうえで、外国企業にとって、イランが投資対象国として魅力的で、潜在能力の高い国であることを強調した。
また、第6次5カ年計画で、民間セクターが重要な役割を果たしていくと指摘。ビジネス環境の改善、民営化の推進の2本柱で進み、政府の制約を受けないようにするため、規制撤廃を計画する。税制改正にもすでに取り組んでいると付け加えた。
イランは今後、国内外で投資家保護、知的所有権の保護を重視するという。イランの人口は約7,800万人で「近隣国を含めると4億人にアクセスが可能。地政学的にみてもイランは東西南北の要衝である。中東のなかでも最も治安のよい国として知られている」(同経財相)。そのうえで、外国投資家に対し、石油・ガスの上流・下流部門、石油化学、自動車、機械、医薬品、鉱業、観光産業が(外資にとって)メリットが高い分野であると呼びかけた。
その他、国有会社は民営化のプロセスにあるとし、これらのなかに「石油化学、銀行、保険、自動車、鉄鋼会社が含まれる」(同経財相)と説明。外国投資家が直接投資できるよう株式上場を計画していることも明らかにした。
最後に、日本との関係についてタイエブニア氏は「日本企業や投資家のイラン進出を願っている。日本とイランは、戦略的パートナーシップを築くことができると信じている」と締め括った。