米国務省は10月16日、原油・天然ガス輸送会社の米エンブリッジ・エナジー・パートナーズに「ライン67」パイプラインの拡張工事を認可したと発表した。完工すれば、パイプラインの原油輸送能力が現行の約2倍に相当する日量約89万バレルとなる。ライン67は、カナダ・アルバータ州のオイルサンド(油砂)生産地域と、米国内の送油網をつなぐパイプラインだ。

他方、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は10月13日、マウンテン・バレー(全長488キロメートル、輸送能力は日量20億立方フィート、投資額は35億ドル)と、アトランティック・コースト(全長966キロメートル、同15億立方フィート、投資額は50億ドル)の天然ガスパイプライン建設を認可したと発表した。マーセラス・シェール層などの天然ガスを米南東部に輸送するという。

米国連邦裁判所は10月半ば、米エナジー・トランスファー・パートナーズが環境影響評価(アセスメント)を再実施していた「ダコタ・アクセス」原油パイプラインの調査結果を受け、これを許可した。連邦裁判所はこれまで、土地所有者である米陸軍が、サウスダコタ州に位置するオーウ湖で原油流出事故が発生した場合の対策が十分でないなどとして、アセスメントのやり直しを命じていた。

このほか、米共和党のルビオ上院議員らが10月下旬、最大で年間511億立方フィートまでの液化天然ガス(LNG)輸出を認可する法案を議会に提出したという。カリブ海諸国や中南米諸国へのLNG輸出を対象としているようだ。

ところで、米環境保護庁(EPA)は10月10日、クリーン・パワー・プラン(CPP)の廃止にかかわる規制制定提案告示(NPRM)を公表した。オバマ前政権時代の2015年に発表されたCPPは、化石燃料を使用する火力発電プラントからのCO2排出量を制限する規則だった。米政府の決定は、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組む世界的な潮流に逆行するとの懸念が広がっている。