エジプトでは、政府が国内経済を活性化させるため、エネルギー分野でも様々な取り組みを示している。国営エネルギー企業の新規株式公開(IPO)入札を実施したほか、補助金の削減で燃料価格を引き上げるなどした。また、天然ガス生産量を増やし、国内需要を賄い、純輸出国に復帰する計画の道筋を示している。

 エジプト政府は7月初旬、石油省の傘下にあるエンジニアリング会社であるエンピにかかわるIPO入札で、米CIキャピタル、ジェフリーズ・インターナショナル、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツNBDキャピタルで構成されるコンソーシアムが落札したと発表した。エジプト政府は現在、国内経済を立て直す長期計画に基づき、国営企業のIPOを進めている。今回のエンピの案件もその一環とされる。

 他方、エジプト政府は今夏、経済改革の方針に沿って燃料価格の引き上げを発表済みだ。ガソリン価格は最大55%、ボンベ充填LPG(液化石油ガス)の価格は2倍に引き上げられたという。エジプト国営テレビなどが一斉に報じた。

 エジプト政府はまた、2020年までに天然ガス生産量を倍増する方針を示した。717日付の『ロイター通信』によると、2019年までに天然ガスの輸入をなくすため、ゾア、ノース・アレキサンドリア、ヌーロス天然ガス田の生産量を18年のうちに現行の50%増にする必要があるとした。ターレク・アルムッラー石油相は、20年に100%増にすると語ったという。ちなみに、2016年のエジプトにおける天然ガス生産量は日量44億立方フィートだった。

 このほか、イタリア炭化水素公社(ENI)81日、同社のクラウディオ・デスカルッチ最高経営責任者(CEO)と、エジプトのシェリーフ・イスマイール首相が、エジプト沖合のゾア天然ガス田(埋蔵量は8,500億立方メートル)のプロジェクト見直しで協議したと発表した。デスカルッチCEOは、エジプト首相との会談で、ゾア天然ガス田が数十年間にわたり、エジプト国内の天然ガス需要の大半を満たすとした上で、エジプトが純輸出国に復帰することが可能との見通しを示したという。