エネルギー開発で、重要視しなければならない対策の一つに「環境問題」が挙げられる。環境保護の高まりを受け、豪州やカナダ、米国では最近、開発プロジェクトの計画中止、開発に対する妨害行為、ブロジェクトから撤退などのニュースが伝わっている。(イラストはイメージ)
英BPは10月11日、豪州南部で展開するグレート・オーストラリア湾における原油・天然ガス開発プロジェクトから撤退すると発表した。環境保護団体による反対運動の盛り上がりが背景にあるとされる。開発パートナー企業であるノルウェーのスタットオイルも撤退に合意した。BPは本プロジェクトからの撤退理由について「この計画は重要なものであるが、グローバル戦略から他の開発を優先することにした」とコメントした。BPは2015年末、豪州当局から開発計画の修正を求められ、国家海洋石油安全環境管理庁(NOPSEMA)の判断待ちの状態が続いていたという。
一方、10月11日付の『フィナンシャル・ポスト』によると、環境保護を主張する活動家4人が、カナダから米国に通じる複数パイプラインの中継地に侵入して送油管を閉止した上で、その様子を動画配信したとして逮捕されたと報じた。活動グループの「クライメート・ダイレクト・アクション」(CDA)は、一連の犯行が先住民組織のスタンディング・ロック・スー族の支援を受けたと表明した。被害を受けたのは、加エンブリッジ、米スペクトラ・エナジー、加トランス・カナダ、米キンダーモーガンなどが保有するパイプラインという。当局は、送油管をいきなり閉止すると、圧力上昇による原油漏洩を引き起こす恐れがあり、環境に被害を与える可能性がかえって大きくなるとしている。
このほか、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルが米ワシントン州スカジット郡アナコルテス近郊で操業するピュージェット・サウンド製油所で、原油の鉄道輸送計画が中止となった。この鉄道輸送計画は、米アラスカ州のノース・スロープ産原油に代えてノース・ダコタ州のバッケン産原油を鉄道輸送するというものだ。計画中止の理由について、関係者は原油安を受けて中西部の原油生産活動が減速していることを挙げた。原油の鉄道輸送に関連し、州・地元政府が、環境影響評価(アセスメント)を進めている矢先の計画中止となった。10月6日付のサイト『ニューズ・トリビューン』などが伝えた。