天然ガスの一大生産国であるカタールでは、国営企業がパキスタンとの液化天然ガス(LNG)売買契約を締結したほか、モザンビークの天然ガス開発事業に参入する意向を示すなど、海外との関係強化に向けた動きが伝わっている。

国営カタールガスと英スコットランドのグローバル・エナジー・インフラストラクチャーはこのほど、20年間にわたるパキスタンへのLNG輸出にかかわる売買契約に調印した。輸出の開始は2018年上半期を予定する。パキスタンのGEIPが現在、同国のカシム港にLNG再ガス化ターミナルの建設工事を進めている。2018年上半期に完成予定という。10月1日付のサイト『カタール通信』などが伝えた。

また、カタールガスは、電力・ガス会社の英セントリカとLNG供給に関する新たな売買契約を締結した。9月5日付のサイト『ワールド・マリタイム・ニュース』などによると、カタールガスは2023年までLNGを年間200万トン供給するという。生産能力で年間780万トンのカタールガス4から、LNGを自社保有のタンカーに積載し、ロンドン近郊のアイル・オブ・グレインのLNG輸入基地に海上輸送するとしている。LNG供給で両社が初めて契約締結したのは2010年だった。

このほか、国営カタール・ペトロリアムは9月半ば、モザンビークの天然ガス事業への参入を目指し、開発企業の米エクソンモービルとイタリア炭化水素公社(ENI)と協議していることが判明した。9月12日付のサイト『エコフィン・エージェンシー』などが伝えた。

それによると、ENIは今後2年の間に、モザンビークの天然ガス田にあるエリア4鉱区の権益50%を約56億ドルで売却する方針だ。エクソンはLNG輸出プラントのオペレーター獲得を目指しているという。

ただ、こうした報道のほかに、カタール・ペトロリアムがエリア4鉱区に留まらず、隣接する鉱区の権益取得も視野に入れているとの情報もある。ちなみに、この鉱区の権益は米アナダルコ・ペトロリアムが保有する。