仏エネルギー大手であるトタルのアジア進出が目立っている。同社はこのほど、中国の新奥集団(ENNグループ)やインドネシア国営のプルタミナと液化天然ガス(LNG)の長期供給で契約を締結した。

2月2日、トタルはプレスリリースで、インドネシアのプルタミナに対し、2020年から15年間にわたり、LNGを年間100万トン供給する契約を締結したと発表した。年間100万トンのうち、トタルはコーパスクリスティLNG輸出基地(米テキサス州)から40万トンを購入する計画としている。トタルの幹部は声明で「プルタミナのような新規のLNGバイヤーと革新的な関係を構築できたことは、アジアでのプレゼンスを強化するうえで、重要な戦略の一部となる」とコメントした。

トタルはまた、2月4日にプレスリリースし、中国の民間ガス企業である新奥集団(本社:河北省廊坊市)にLNGを年間ベースで50万トン供給する計画を締結した。現在、新奥集団は浙江省舟山市の近郊にLNG受入基地を建設中で、トタルは完成後の2018年に供給を開始する予定だ。期間は10年間。中国政府は現在、石油・天然ガス事業の民間部門への投資促進策を進めており、今回の契約もその一環とされる。

ところで、米エネルギー情報局(EIA)によると、2015年に中国が輸入したLNGは日量26億立方フィートで、前年比で1.1%減少した。中国が2006年にLNGの輸入を開始して以来、初めての前年割れとなったという。

2015年末の時点で、中国にはLNG受入基地が13カ所あり、再ガス化の総能力は日量54億立方フィートだ。今後、新たに同34億立方フィートを増産するため、2016~19年にLNG受入基地の増設を目指しているという。ただ、LNGの供給契約は、原油価格が1バレル100ドルの水準だったため、現在の油価水準を考慮すると、計画の延期が懸念されている。