米エネルギー情報局(EIA)は6月17日、エネルギー見通し「アニュアル・エナジー・アウトルック(AEO 2016)」を公表した。米国では、天然ガス焚き火力発電量が石炭焚き火力発電量を2022年までに上回るとともに、風力など再生可能発電量が大幅に増加する見通しを示した。(写真は米エネルギー省のロゴマーク)

EIAによると、AEO 2016では、基準ケースで見ると、米国では2022年までに天然ガス焚き火力発電量が石炭焚き火力発電量を上回るとともに、風力・太陽光・バイオなどの再生可能発電量が2029年までに石炭火力を追い越すと予測した。

エネルギー効率などを改善するためには、米政府が導入予定のグリンパワープラン(CPP)が重要な役割を果たす。ただ、仮にCPPが導入されない場合でも、税制優遇策が延長されることで、再生可能発電量は増加するとした。(※風力・太陽光発電に関する投資税額控除、生産税額控除は5年間延長された)。

AEO 2016の基準ケースでは、2040年までの米電力需要の見通しについて年率0.7%で増加するとされている。2015年現在、用途別で見ると、家庭部門が38%(1.4兆kWh=キロワット時))で最大となるが、2015年から40年までの間で、1件あたりの電力購入量は11.3%減少する見込みだ。2020年代初めには商業部門が家庭部門を追い抜くとしている。また、工業部門の電力購入量は15年の1.0兆kWhから40年に1.2兆kWhになると予測。この予測の根拠は、CPPの導入が前提になるとしている。

米エネルギー当局は現在、発電プラントの建設コストに関するデータを収集しているという。この中、EIAは6月初旬、2013年に米国で設置された発電プラントの実績データを公表した。それによると、13年に新設された発電プラントの大半は、天然ガス・コンバインド・サイクル方式(ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式)で、建設費用は1kWあたり965ドルだったとした。太陽光は同3,705ドル、風力は同1,895ドル。EIAは8月に2014年の発電プラントの建設コストに関するデータを公表する見通しだ。