ポーランドは、ロシア国営ガスプロムとの天然ガス輸入交渉で期限が切れる2022年以降、契約を延長しない方針のようだ。ウクライナ危機を受けて、他の産ガス国からの調達を増やし、ロシアからの供給不安に備えようとの狙いがあるようだ。ロシアが今後、値下げ交渉に応じるかが注目される。

ポーランド国営ガス大手のPGNiGはこのほど、ガスプロムとの天然ガス購入契約に関連し、1996年に締結した長期契約の期限切れとなる2022年に更新しない方針であることを明らかにした。5月31日付のサイト『アメリカン・インタレスト』などによると、ロシアから供給される減少分を液化天然ガス(LNG)と、ノルウェーなどからのパイプライン輸入で補うとしている。ポーランドは、以前から契約期間、原油価格に連動する価格体系、ガス引き取り義務量など、ガスプロムとの長期契約の条件について不満を持っていたという。ポーランドにおける天然ガスの国内消費量は年間ベースで150億立方メートルに対し、ガスプロムからの輸入量は最大で同102億立方メートル。

他方、当社サイト「エネルギーフロントライン」ですでに取り上げたように、ポーランドでは、ポルスキーLNGが昨年12月、バルト海の港湾都市であるシフィノウイシチェにあるLNG輸入ターミナルにカタールから初輸入した。当時、2隻目は2106年第1四半期に到着する見通しとしていた。この輸入ターミナルでのガス化能力は年間50億立方メートルで、今後、同75億立方メートルまで増強する計画としている。

ところで、ガスプロムの幹部によると、同社の2016年の欧州向け天然ガス輸出量は前年比16%増の1,650億立方メートルになるとの見通しを示した。原油安の影響を受けて、これと連動する16年の天然ガス販売価格(平均)は、15年の1,000立方メートルあたり240ドルから同167~171ドルにまで下がると見ている。その上で、この幹部は天然ガスの平均生産コストが1,000立方メートルあたり20ドルになるとし、世界市場で最も低コストであると、自国産ガスの優位性を強調したという。5月31日付のサイト『スプートニク・インターナショナル』が報じた。