米エネルギー情報局(EIA)は5月、2015年の米国における石油・天然ガスの生産量が世界第1位だったとの報告書を発表した。また、米国における天然ガス発電量が増加しているとした上で、新設の天然ガス発電プラントの大半が、シェール層周辺に立地されているとした。

EIAは5月23日、米国の石油・天然ガス生産量が2015年も世界第1位だったと公表した。天然ガス生産量は2011年に世界最大となった。石油を合わせた石油・天然ガス生産量は2012年に初めてロシアを抜き、世界第1位になった。世界の3大石油・天然ガス生産国はロシア、サウジアラビア、米国だ。このうち、米国とロシアの石油と天然ガスの生産量は、エネルギー換算するとほぼ同量とされるが、サウジだけは石油生産に偏っている。EIAによると、米国の石油系炭化水素の構成比は、原油・コンデンセートが60%、天然ガス液(NGL)が20%、その他はバイオ燃料などとしている。

他方、米国における天然ガス発電量は2015年、前年比で19%増加した。天然ガス価格の下落にともない、天然ガスによる発電能力が増加する一方、石炭火力による発電プラントが老朽化によって稼働停止になったことが背景にあるという。

一方、3月半ばに公表されたEIA短期観測レポート(STEO)で、2016年は天然ガス発電量が石炭火力発電量を上回る見通しとした。2016年から18年にかけて、米国における天然ガス発電プラントは18.7ギガワット(GW)分の増設が予定されるが、その多くはシェールガス埋蔵地の付近に建設される。

シェールガス埋蔵層の中でも、マーセラスなど中部大西洋側のバージニア州(2.3GW)、オハイオ州(1.9GW)、ペンシルバニア州(1.8GW)、マサチューセッツ州(0.7GW)と、イーグル・フォードなどテキサス州(3.2GW)で増設が進む。フロリダ州では3.8GW分が建設されるとしている(5月19日付のEIA報告)。

EIAはまた、5月23日の米ガソリン価格が前年同日比で1ガロンあたり23.47セント安の2.30ドルになったとし、2009年以降で最低水準であると公表した(5月27日付のレポート)。指標となる北海ブレント原油価格が、2015年比で1バレルあたり16ドル安い水準にあることが要因としている。