カナダのアルバータ州は昨年後半、炭素税の導入や二酸化炭素(CO2)排出量の上限改定のほか、石炭火力発電所を段階的に廃止する方針を示した。(写真はアルバータ州エドモントン市)

同州政府は昨年11月末、炭素税の導入やCO2排出量の上限改定、石炭火力発電所の段階的廃止を実施する方針であると発表した。それによると、2017年に炭素税を導入。当初はCO2排出量1トン当たり20カナダドルとし、18年に同30カナダドルを徴収するという。オイルサンド(油砂)を開発する際、CO2排出量の上限を年間1億トンにする(現行は年間7,000万トン)。また、石炭火力発電の3分の2を再生可能エネルギーに転換するなどとした。

一方、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは昨年後半、アルバータ州クエストでCO2回収・貯留(CCS)の商業生産を開始した。油砂ビチューメンから合成原油を製造するプロセスで排出するCO2の約3分の1を回収し、パイプラインを利用して65キロメートル先まで搬送したうえで、地下2キロメートルの岩盤層に貯留するそうだ。貯蔵能力は年間100万トン。建設費は13億カナダドル。2015年11月6日付のサイト『ハイドロカーボン・プロセッシング』が報じた。

ところで、米エネルギー情報局(EIA)は昨年11月、カナダの国別レポートの内容を更新し、公表した。カナダは世界第5位の原油類の生産国であるとともに、純輸出国である。EIAによると、カナダにおける原油の確認埋蔵量は1,730億バレル(2015年1月現在)で、ベネズエラ、サウジアラビアに次いで世界第3位だ。他方、オイルサンド(油砂)の確認埋蔵量は1,660億バレル。2014年の原油類の生産量は日量約440万バレルで、前年と比べ同30万バレル増加した。原油類と石油製品を合わせた輸出量は日量340万パレルで、このうち、原油分は同290万バレルである。

カナダ国内には現在、16の製油所があり、合計の精製能力は日量190万バレル。2014年の石油製品の国内販売量は前年比2%増の同180万バレルだった。一方、天然ガスの確認埋蔵量は67兆立方フィート(14年12月末時点)。炭層メタン(CBM)やシェールガスなど非在来型天然ガスの確認埋蔵量は、合わせて573兆立方フィートという。