インド政府は6月27日、エネルギー安全保障の観点から、新たに650万トン相当の原油戦略備蓄(SPR)施設の建設を認可したと発表した。設置する場所は、オリッサ州のチャンディクホルと、カルナータン州のバドゥアー。インドはすでに530万トン分の原油備蓄量があり、消費量の22日分を備蓄している。ちなみに、国際エネルギー機関(IEA)は、SPRについて消費量の90日分を設定している。

一方、ヘイリー米国連大使はこのほど、インドを訪問し、同国のモディ首相に対し、イラン産原油の輸入量削減の必要性を伝えた。6月27日付のサイト『インディアン。エクスプレス』が報じた。イラン核合意からの離脱を正式表明したトランプ米政権は、日本をはじめ、同盟国に11月からイラン産原油輸入の停止を呼びかけている。報道によると、会談では、インドによるイラン南東部のチャーバハール港の利用についても協議されたという。

インドのプラダン石油・天然ガス相は6月28日、インド国営天然ガス会社(GAIL)の天然ガス小売りとパイプライン運営事業の分割を取りやめると発表した。理由については明らかにしていない。インド政府は2018年1月、GAILを天然ガス小売り・パイプライン事業と、石油化学事業の2社に分割する案を発表済みだった。

プラダン石油・天然ガス相はまた、インド政府がアラブ首長国連邦(UAE)の石油鉱区で予定される国際入札に参加するとの意向を示した。入札に関連し、UAEのアブダビ政府が100%出資する投資会社であるムバダーラ開発などと交渉していることを明らかにした。

このほか、インド国営石油会社(IOC)と国営バハラート石油(BPCL)、国営ヒンダスタン石油(HPCL)の3社は6月半ば、マハーラーシュトラ州ラトナギリに製油所・石油化学の複合施設(コンプレックス)建設するプロジェクトの合意文書に調印したと発表した。完成すれば、精製能力が世界最大級の日量120万バレルになるとしている。投資額は400億ドルに上る見通しで、2022年の完成を目指している。