今回は、豪州におけるエネルギー事情を取り上げる。電力調達で天然ガスの輸出を促進する一方、国内供給が不足するとの懸念が広がっていたことを受け、豪連邦政府がこのほど、新電力政策をまとめた。

豪連邦政府は10月17日、環境・エネルギー省がまとめた新電力政策を公表した。エネルギーを安定供給するため、石炭・天然ガス・揚水発電・蓄電池などの信頼性を確保する目的で、エネルギー市場委員会(AEMC)と電力市場の運用者である豪エナジー・マーケット・オペレーター(AEMPO)が保証するのが、新政策の骨子としている。

豪州の液化天然ガス(LNG)輸出企業であるオーストラリア・パシフィックLNG(APLNG)は10月26日、天然ガスの国内優先供給で豪政府と合意したと発表した。豪オリジン・エナジーが今後14カ月間、APLNGから41ペタ・ジュール(PJ)分を購入し、それを国内向けに供給するとしている。

他方、豪州産業イノベーション科学省は10月初旬、2018~19年度にLNGの年間輸出量が7,400万トンに達し、世界第1位のカタールを上回る水準に到達するとの見通しを発表した。2018年には、米シェブロンが西オーストラリア州で運営するウィートストーンLNG、国際石油開発帝石(INPEX)が北部準州(ノーザン・テリトリー)で展開するイクシスLNG、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルのプレリュードLNGが2017年から相次いで生産活動に入ることがLNG輸出増につながるようだ。

豪州企業の動向については、豪タップ・オイルが10月半ば、タイランド湾にあるマノラ油田の鉱区(G1/48)で、2井の掘削作業を開始したと発表した。オペレーターを務めるアラブ首長国連邦(UAE)のムバダラ・ペトロリアムが2井を掘削する計画という。タップ・オイルは、開発鉱区の権益30%を保有している。

このほか、LNG設置を手がける仏GTTは10月23日、ロイヤル・ダッチ・シェルが西オーストラリア州ブルーム沖合で展開するプレリュード浮体式LNG(FLNG)のタンクシステム関連のエンジニアリング、検査、補修、試験役務を受注したと発表した。このFLNGは、タンク計10基を備えるとしている。LNG貯蔵能力は32万6,000立方メートルという。