韓国では現在、海運大手の韓進海運が8月末に経営破綻するなど、造船業界が厳しい状況に晒されている。「韓進ショック」が引き金となり、他の大手造船・海運会社も大幅な人員削減を強いられるなど、経営の先行きが不安視されている。こうした状況下、投資会社が韓国企業に液化天然ガス(LNG)タンカー20隻を発注する計画があるとの情報も伝わっている。

韓国造船ビッグ3の1社である大宇造船海洋(本社:ソウル)が、1万3,000人弱の全従業員のうち、約24%に相当する3,000人の人員削減を計画している。大宇造船は希望退職で約1,000人を見込み、残りを他の会社に移籍させる方針のようだ。前述したように、韓国造船業界では現在、原油安にともなう造船不況で事業規模の縮小、人員削減、資産売却が待ったなしの状況にある。今回の大宇造船のリストラもその一環とされる。

一方、韓国では造船不況が吹き荒れる中、一条の光が見え始めている。投資会社のCBIエナジー&ケミカルがこのほど、韓国の造船会社に対し、LNGタンカー20隻を総額38億ドルで発注する計画であることが明らかとなった。10月12日付の『ロイター通信』によると、CBIは浮体式LNG(FLNG)設備の購入も含まれるという。CBIは、アフリカやアジア地域を重点に、天然ガス開発やLNG、天然ガス配送・販売事業に注力する。今回、複数の韓国造船会社が受注する見込みで、20隻のうち1船目は2019年に、残りはその後1カ月のうちに引き渡すとしている。CBIは、米国やカナダの投資家が香港を拠点に投資活動している。

ところで、造船・海運不況は韓国だけの問題ではない。日本郵船は10月7日、2017年3月期第2四半期連結決算で、減損損失1,600億円と契約損失引当金約350億円、計約1,950億円を特別損失に計上する見込みと発表済みだ。

また、オランダの造船会社ロイヤルIHCは10月14日、原油価格の下落と国際競争力の激化で受注額が減少していることを受け、425人の人員削減を計画していると発表した。