低迷が続くナイジェリア経済を立て直すため、同国政府や議会、中央銀行、石油企業などがエネルギー政策に乗り出した。

まず、石油産業における負の遺産ともいうべき「盗油問題」に関連し、ナイジェリア下院議会は9月22日、グッドラック・ジョナサン前大統領時代に横行した盗油行為の実態解明にメスを入れるとした。下院議会は、同大統領がナイジェリアを統治した2010年から15年に盗まれたとみなされる原油・液化天然ガス(LNG)が、金額ベースで170億ドル相当に上るとした。米国や中国、ノルウェー向けの原油5,800万バレル、LNG72万7,000トン分が不明であるとし、20企業、2政府機関の関与が疑われているそうだ。昨年、汚職との戦いを公約に、大統領に選出されたムハンマド・ブハリ氏(元最高軍事評議会議長)が、本格的な解明に向けて動き出した。

一方、9月19日付のサイト『オール・アフリカ』などによると、ナイジェリア中央銀行(CBN)のゴドウィン・エメフィエレ総裁はこのほど、国営石油会社NNPCが保有する関連資産の15%を売却する計画であることを明らかにした。売却益を100億ドルと見込んでいる。すでに売却に関するプロジェクトチームが発足したことも併せて公表したという。

このほか、ナイジェリアでは現在、コングロマリットであるダンゴート・グループによる製油所新設プロジェクト(精製能力は日量65万バレル、投資額は170億ドル)が進行している。9月26日付のサイト『パンチ』などによると、ダンゴートの幹部が、2019年第1四半期までにトータルで30万人の雇用創出につながるとの見通しを明らかにしたそうだ。このプロジェクトは、製油所のほか、石油化学プラント、肥料プラントを1カ所に集約しているのが特徴。製油所が稼働すれば、燃料輸入代金の節減に寄与するとされる。ナイジェリアでは官民挙げてのエネルギー政策を実行に移すことで、経済危機を乗り切ろうと躍起のようだ。

㊟ ナイジェリアの盗油問題については、本サイト「エネルギーコンフィデンシャル」(2016年5月12日付、タイトルは『盗油被害が相次ぐナイジェリア政府に危機感―原油生産量でアンゴラに抜かれ、アフリカ最大の地位から転落』)を参照して下さい。