3月2日から4日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで、スマートグリッド(次世代送配電網)構築に向けたシステムや、再生可能エネルギーにかかわる展示会「スマートエネルギーWeek2016」が開催された。今回は、ブースを出展したカナダ水素・燃料電池協会(CHFCA)のエグゼクティブ・ディレクター、カロリン・ベイリー氏に日本市場参入への狙いについて聞いた。(写真中央がベイリー氏) 

CHFCAはバンクーバーを本拠地とする非営利の業界団体で、カナダ連邦政府と連携し、再生エネ関連企業が水素・燃料電池の普及や海外展開を行う際、これをサポートする役割を担う。2005年から日本開催のスマートエネルギーWeekの展示会に出展しているそうだ。ベイリー氏は、展示会を通じて「日本企業とのパートナーシップ締結につながった」と、成果を強調する。ブリティッシュ・コロンビア(BC)州のパワーテック社が日本企業と協定を締結、水素の補給ステーションを設置し、日加間の水素関連ビジネスがすでにスタートしたという。

ベイリー氏によると、カナダにおける水素・燃料電池ビジネスの市場規模(2015年)は2億カナダドル相当で、このうちの80~85%が水素・燃料電池などの輸出が占めているそうだ。輸出先はドイツ、日本、韓国、中国が上位を占める。日本へは自動車向け水素補充ステーションの関連ビジネスが主流となっている。同氏は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、今後も日本は有望な市場の一つだ」と強調した。

カナダでは昨年10月19日、総選挙が実施された。その結果、ジャスティン・トルドー氏が党首を務める野党・自由党が与党・保守党を破り、10年ぶりの政権交代を果たした。これまで緊縮財政路線を取ってきた保守党に対し、自由党は財政出動の必要性を主張する。ベイリー氏は「新政権は化石燃料から再生可能エネルギーへシフトするとの方針を掲げている。クリーンなエネルギーを供給することで、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につながるよう、私たちも取り組みを強化したい」と締め括った。