5月23日に訪越したバラク・オバマ米大統領は、ハノイでチャン・ダイ・クアン国家主席と会談した。終了後の共同記者会見でベトナムへの武器禁輸措置を全面解除すると発表した。米越関係が改善に向かう中、米企業をはじめとするベトナム進出も目立ってきた。

米国とベトナムは1995年に国交を回復した。現職大統領による訪越は、2000年のビル・クリントン氏、2006年のジョージ・ブッシュ氏に続き、3人目となった。対ベトナム外交で、今回のオバマ氏の訪越は、多くのメディアで「関係格上げ」と報じられた。

オバマ大統領の訪越に合わせるように、米ハネウェルはこのほど、国営ペトロベトナムの石油・天然ガス事業を支援することで合意文書に調印した。5月24日付のサイト『ベトナム・インベストメント・レビュー』などによると、ハネウェルは、将来のベトナムにおけるエネルギー関連の投資プロジェクトと、ペトロベトナムが実施するプロジェクトの設計業務や事業化調査(FS)などを支援するという。

また、ペトロベトナムとマレーシア国営のペトロナスは両国間に跨る海洋鉱区(PM3-CAA)の生産分与契約(PSC)を2017年まで10年間延長する契約を締結した。5月9日付のサイト『エナジー・ペディア』などによると、両社の子会社(PCSBとPVEP)と、カナダのタリスマン・エナジー子会社の契約が含まれるという。この鉱区には5つの生産鉱区がある。権益比率はタリスマンが35%、PCSBが35%、PVEPが30%となっている。

一方、安倍晋三首相は、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の拡大会合に招いた6カ国の首脳と個別に会談した。5月28日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相と官邸で会談し「広範な戦略的パートナーシップに基づき、ベトナムとの協力を強くしたい」と述べたとされる(写真は外務省HPより。内閣広報室が提供)。中国の強引な海洋進出を念頭に日米とベトナムが協力し、対中包囲網を強化するとの狙いがある。今回の会合では、エネルギー分野での具体的な案件は議題に上らなかったようだ。